藤野17号だたら (2010.5.30)

これまでのたたら場での製鉄はこれが最後です。
畑の持ち主、大野さんには長いことお世話になりました。

炉作りは5/9。5/23操業予定でしたが、悪天候により1週間延期となっていました。操業当日の参加者は8名。

砂鉄は房総の浜砂鉄23.7キロです。直径0.1mmの細かい砂鉄。
収量は、こぶし大1.0キロのケラがいちばん大きい塊です。
ほかに1キロ以下のケラがいくつかでき、総量は4.9kgでした。
やはり、まとまらなかった・・‥…。

炉はレンガ1.5×1丁のサイズに戻しました。窯土は適度の厚さに。
房総の砂鉄は細粒で純度が高く、ノロの成分となる“脈石”成分が少ないのですが、これについては今まで考慮していませんでした。そこで今回は、ワリノロ0.5キロのあと、ノロの成分となるであろうサバ土を使うことを考えました。
ここでサバ土と呼んでいるのは,細粒の土の固まりですが、これをどう使うのか、確認していませんでした。相談した結果、砂鉄に混ぜて入れることにしました。結果的に2.3キロほど使いました。
これは初めての試みです。窯土も変わり新しい調製です。また、炉内サイズも幾分小さくなっています。今までといろいろな条件が違います。また、炭は3cmと4cmを購入し、混ぜて使いました。これも初めての試み。

ワリノロ投入は火入れから1時間半後。砂鉄投入開始はその10分後です。
最初のノロ出しは粘っこく、うまくいきませんでした。
そのうち始業羽口が詰まってきたので、操業羽口も同時に吹きました。約1時間の間、2本とも吹きましたが、ノロは相変わらず粘っこく、多少は掻き出せたという程度です。操業羽口1本に切り替えてから約1時間後、1段上の羽口に切り替えました。今回は操業羽口を2本設置してありました。

送風量は基本的に炎の高さを見て調整していました。ようやく黒鉄会も、炎を見る、ということが身についたようです。
ノロ出しは計8回。炉外にさらさらとは流れ出ず、それなりに粘性は高いのですが、後半ほど粘性が下がってきて、まあまあのノロ出しができたときもありました。
今回は、炉内サイズがやや小さめのこともあり、これまでに比べ投入した砂鉄総量は少なめです。最後は羽口先にノロが詰まってきたので、本日はこれにて砂鉄投入終了、とみんなで判断しました。

今回は、送風はわりとうまくいったのでは、と思います。
新たに作成した送風管は、ぱっと外せて羽口のつまり具合が簡単に確認できます。炎を見ながら羽口のつまりを確認し、おかしいと思ったら突いてしょっちゅう取り除きました。

今までと同じだったのは、やはり炉底が上がってしまったこと。
前半のノロ出しがうまくできません。後半は始業羽口の位置でノロ出しをしていました。

今のたたら場での最後の操業ですが、あれこれ相談して考えながら、ほぼ満足のいく操業だったと思います。

 

右面が始業羽口、左面が操業羽口の面。ほぼレンガを外した状態。

 

大きいもので1.0キロ、こぶし大。



 

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