藤野18号だたら (2011.1.23)

いよいよ新しい場所での「たたら製鉄」が始まりました。参加者6名+見学者多数!!

たたら場は前年7月に移転しました。10月からたたら場の準備を始め、足場鉄管による屋根掛け、物置の設置、電源や水の確保のための交渉など、大忙しでした。準備が間に合わず12月の操業はできなかったものの、年明け1月の操業となりました。

炉は12月19日に作成。乾燥期間は十分にとる。また、操業1週間前にも念のため乾燥その他の作業に集まる。操業前日、午後1時に3名が炉の乾燥と電源確保などの作業のために現地入り。電源はすぐ近くの建物から引っ張る。1週間前の寒さに比べて風がないので寒くはない。まずは炉の乾燥のために小屋の屋根を上げる。今回の黒鉄会のたたら場の小屋は壁がなく屋根だけで、屋根の真ん中の部分だけ開閉できるようにしてある。

1週間前に一度乾燥したせいか、炉の乾燥状態は悪くない。さあ、明日の朝までジャンジャン火を焚いて乾かせ!

さすがに夜の寒さはこたえる。コップにワインを3ミリほど入れたままにしておいたら、驚くことにシャーベット状に凍っている。これじゃあ、冷凍庫の温度だ! みると、車は全て霜が付いている。ワインの瓶も、プラスチックの容器も、木材も何から何まで霜で真っ白だ。それでも夜中に2回、炭をたたら炉に入れる。

操業当日、8時に参加メンバーが集まり準備を始める。この場所には水道がないので川からポンプでくみ上げなければならない。トイレがないので「トイレテント」を張って使っている。水分がある物は全て凍ってしまう。補修用の土は凍結しないように炉の近くに置いてあったがそれでも表面以外は凍ったまま。砂鉄は事前に塩分を洗い乾燥してあったので、朝、水をいれて水分を含ませた。厳冬期の操業は思いもかけないことばかり・・・。

少し遅れたスタートになってしまったが、いよいよ8:50火入れ。ところが送風管に不具合があって、本格的送風までだいぶ時間を無駄にしてしまった。気持ちを落ち着かせ、その後1時間ほど炭だけで送風を続けた。どこからも水蒸気が出てくることもなく炉の温度は十分に上がったと判断して、砂鉄を0.5kgから入れ始めた。
極めて順調に砂鉄と炭が落ちていくので0.5kgを3回いれて、次に0.6kgに増やした。
しかし、11:30に始業羽口が詰まって送風がうまくいかなくなった。いくら鉄の棒で突っついても穴が開くだけでどうにもならない。このまま送風を少しは続けられても炭が見えないので風だけが送られてかえって冷え込むのではと判断して、操業羽口からも送風を初めて、2本で吹いてみたが、これは10分ほどで止めて、操業羽口のみに変更した。

ここからしばらく砂鉄を0.6kgずつ合計5回入れる。順調に落ちるので次に0.7kgを3回、0.8kgを3回、次に1.0kg上げて行った。


午後1:40分に炎が濁ってきて送風がうまくいかなくなったので、ノロ出しを試みたが出ない。仕方なく操業羽口として3本作ってあった2段目に羽口を移した。2:00に再度ノロ出しをしたら粘いノロが出た。

こんな調子で進めて25kgの鉄が入ったところで砂鉄投入はストップした。火伏せをしてから送風を止めたのは4:00になっていた。

いよいよ炉の解体。いつもより釜土が食われていないようでレンガを外しやすい。驚いたのは炉の下の部分の土がまるで溶けていなかったこと。温度が上がっていると思っていたのに、十分に上がっていなかったのだ。

ノロの固まりをどんどん崩していくと、これはまとまったケラができていないことが容易に想像がつく。でも、手の平に乗る小さな固まりが3つほどと磁石に付く物を集めると全体で5.7kgの収量があった。歩留まりはまあまあだが、とにかく塊にならないことが大きな課題として残った。

 


12月につくった炉。右側が操業羽口。事情があって今までといろいろ違う。


足場鉄管を組んだ小屋。屋根はウィンチによる開閉式。


たたら炉の守り神「たたべぇ」に守られて操業。


炉の解体中。下が焼けてない。


こんな塊しかできなかったが・・。

 



 

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