藤野19号だたら (2011.5.15)


●今回は参加者7名+見学1名です。先に結果報告! とにかくケラはできた!! 

●操業前日の乾燥
炉の乾燥と電気の配線などの作業のために午後2時に3名が現地入り。4月に炉作りをしてからそんなに経っていないのに、あっという間に雑草が伸びているのにびっくり。
今回は炭代の節約のために集めた木材を切ってそれを乾燥に使った。鋸引きで汗をかく。
夕方、炭で調理を始める。この炭はクヌギとナラで、今まで使っていた黒鉄会で焼いた杉の炭や、買った松炭に比べるととても火力が弱い。調理に時間が長くかかったが使った炭の量が少ない。この調子なら寝る前の炉に一杯に乾燥用の炭を入れたら夜中に追加のために起きなくても良いかも知れないと考えた。今後もこれを使えると炭代が安くすむし、夜中にわざわざ起きなくてもすむので大いに助かる。

●操業
朝8時に火入れの予定であったが、7時半頃に中嶋さんから電話があり「大失敗した・・・・寝坊した」。その車に同乗予定の3人は急きょ電車で来ることになったので駅まで迎えに行った。これで火入れが遅れてしまった・・・・。

8:57火入れ。今回は大野刀匠が来てくれた時の操業時間を参考にすることにしたので、砂鉄を入れるまで2時間我慢をすることにした。

過去の操業でできたケラやまとまらなかったコゲラなどの写真を用意してあったが、やはりチタン分の少ない真砂砂鉄の時の方が操業としてはうまくいっている。でも、それでも成功していないこともある。大野師匠が来た時はいつも使っている房総の砂鉄を使った。名人はチタン分が多くてもちゃんとケラを作れるのだ。今回も房総の砂鉄だ。

とにかくサラサラの流動性の高いノロを作ることが最重要課題!

火入れから2時間後、砂鉄を0.6kgずつ入れ始めた。始めは順調に炭と砂鉄が落ちていたが、炎の高さが低くなり風が通っていないと判断するとすぐに羽口からブロアーをはずして中を覗く。すると溶けた土が垂れて来ているので、かなり頻繁に鉄の棒で突いた。
砂鉄は徐々に投入量を上げていったが、炎の色が濁って来たので12:37に最初のノロ出しを試みたが、粘くてどうにもならない。

13:02、2回目のノロ出し。するとサラサラのノロがいっぱい流れ出てきた。みんな「ワー!」と声を出して喜んだ。こんな流動性の高いノロは黒鉄会始まって以来か、いや1回目以来か。今日はケラができる予感に期待が高まる。

しかし、その後どうにも風が通らなくなるので、13:48に始業羽口から操業羽口に送風を切り替えた。

その後は羽口を突いたり、ノロ出しを何度もやってみたが、残念ながらノロは粘い。砂鉄は合計25.2kg入れた段階で下がり方のスピードが遅くなってコントロール不可能になったので、ここで砂鉄投入は中止。16:45に送風を停止して炉を解体しはじめる。

どんどん炉を崩していったがなかなかケラらしいものは出て来ない。ドラム缶に入れて冷やした後もどんどんたたく。また固まりができたないかと不安がよぎる・・・・。

ところがとうとう出てきた。コロッとした鉄の塊が出てきた!
重さは2.7kgと小さいがズシッと重い。あまりノロをかんでいないようにズンと重い。あれだけのサラサラのノロができていたのだから、やはりケラはできていた!
その他の小さな鉄の重量を集めると合計5kgの収量だった。

●考察
今回、火入れから砂鉄投入まで2時間待ったことがケラがまとまる要因と考えられる。
また、始業羽口をわずかあげて炉底の真ん中を吹かないようにしたこともよかったのかな?
反省点はノロが粘くなった時に砂鉄の投入量を下げるとか中止して炉の温度を上げるべきだった。次回は気を付けよう。投入砂鉄の総量を気にしすぎだ。

今回はとにかくノロがサーッと流れ出て気持ちよかった〜! 
まるで玄武岩質の流動性の高い溶岩のようで、きれいに縄目が入っていた。

 


今回もたたら炉の守り神「たたべぇ」に見守られて。


さらさら流れるノロに感激。


炉を解体。この中にケラがあるはず。右が底面。


2.7キロのケラが出てきた。コロリとズシリと。


 

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