今年3回目の操業、地元の「ぐるっとお散歩篠原展2011」への参加イベントでもある。
操業参加者8名、見学者多数!!●乾燥
9月下旬の台風に耐えた我らがたたら場だったが、雨がそうとう降ったようであちらこちらに水溜まりができている。炉作りから3週間も経っているのに炉が自然乾燥されるどころか、横殴りの雨にあたってしまい濡れていた。基礎のない足場鉄管で組み立てたたたら場に壁を作ったら台風で吹き飛ばされていただろう・・・・。操業前日の午後、炉の乾燥を始める。
今回も炭代の節約のために集めた木材を切って乾燥に使った。しかし炉の内側も濡れていたので木材に火が着かない。小型ブロアーで吹いても止めるとすぐ火も消えてしまう。これでは今回の操業は失敗するのではないかと心配になる。
とにかく乾燥がうまくいくかが大問題! 夜中から朝までに炭を2回入れたが、朝になっても炉のあちこちから湯気が立っている・・・・。●操業
完全に乾ききってはいないが、8:25火入れ。前回は砂鉄を入れるまで2時間待ったが、今回は炉の乾燥状態が悪いので2時間半我慢をすることにした。使用砂鉄は房総のチタン分の多い砂鉄。今回の操業は地元の祭りのイベントの一環として行なうので、最初から炉の解体は15時半を目標とする。
10時頃、まだ砂鉄を入れていないのに始業羽口からの送風がおかしくなり、棒で突いた。釜土が溶けていると思われる。しかし、今は亡き大野師匠の「吹き続ければ溶けた土も粘性が下がる」と教えられた通り、ここは落ち着いて風を送り続けよう。
やっと11時近く砂鉄0.6kgの投入を始めた。0.6kgを3回入れた後に、0.8kgに増やす。でも、炉の下の方から湯気が出ているので気になって仕方がない。
12時頃に炎の高さが低くなったので、始業羽口が詰まったかと思った。でも、のぞいてみるとノロが羽口の所まで流れてきていたので第1回目のノロ出しを試みた。ところが粘くてノロは外まで出て来ない。仕方がないので操業羽口に切り替えた。とにかくサラサラの流動性の高いノロができなくてはケラがまとまらない! 今回は無理かな? 小ゲラがバラバラにしかできないかな・・・・?
操業羽口に切り替えてから順調に炭と砂鉄は落ちて行く。
大野師匠からは砂鉄を5kg入れたあたりがノロ出しのころあいだと教わっていた。砂鉄はまだそんなに入れていなかったが、炎の高さが低くなり風の通りが悪くなった。羽口からブロアーをはずして中を覗くともうノロが羽口の前までできている。炎の色が濁っている。
13:24、2回目のノロ出し。なんとサラサラのノロが流れ出てきた。ホッと安心。見学者は「ワー!」と声を出して驚く。なんだかわかっていないと思うのだが・・・。
粒鉄はいっぱいできている。まとまってくれれば、なんとかケラができるかも知れない・・・・。
炭と砂鉄は順調に落ちていったが、やがてまたしても送風がおかしくなりノロが上がってきているので、3度目のノロ出しを試みたが粘性が高くなってしまっている。ケラができる期待は薄れて来る・・・・。ここで操業羽口の上の予備の羽口に切り替える。
砂鉄は1kgから1.2kgに増やしていたが、温度が上がっていないことが考えられるので1kgに戻した。炉の解体を15時半に予定していたので砂鉄投入は14時半に止める。
前回もあったふしぎな現象は、途中から炎に白い煙が混じったこと。今回は13時頃から起こったが理由がわからないので気持ち悪い・・・・。
それよりも問題は砂鉄投入を止めてから送風が思うようにいかず炭が下がる速度が急に遅くなる。ノロ出しを試みたが粘くて出て来ない。
炉の解体は16時にずれ込んだ。解体は粘っこいノロでガチンガチンに固まってしまったレンガを崩すのに苦労した。ケラはできていないみたいとそうとう不安に思っていたが、なんとか鉄の塊が出てきた!
形はゴツゴツしていて格好が悪い。
でも重さは3.0kgで前回より少し大きかった。その他の小さな鉄の重量を集めると合計は3.8kgの収量しかなかった。全体の砂鉄投入量は24.2kgなので歩留まりはずいぶんと悪いが、今回は炉がちゃんと乾燥していなかったので、ケラができただけ満足、満足。●考察
炉が乾燥していなくて条件としては問題だったが、途中でノロがサラサラになったので、やはりこのような状態になればケラができることがわかった。
反省点は大野師匠の操業をまねして砂鉄投入を1.2kgまで増やしたが、そこで温度が下がってしまったので次回は1.0kg止まりにする予定。所詮、素人が名人をまねするのは無理。
待つ間に野点。
2回目のノロ出し。ノロ出し口よりずいぶんと上。
なかなか炭が下がらず、疲れてきて座り込んでいるメンバー。草を火伏せ用に用意した。
3.0kgのケラ。明るいうちにすべての片付けが終了。