藤野21号だたら (2012.04.01)

初めての原料を使った試みは、結論から言うと、、、、完全失敗。

参加者6名。見学者は近隣のシュタイナー学園の子供たちと父母約20名と永田教授(芸大)の知り合い2名。

今回は初めての試みとして秩父鉱山産の磁鉄鉱の鉱石を砕いて原料にしたのですが、「還元しやすい」という何人かの方のお言葉にすっかり安心しきっていました。

前日の乾燥も強風と雨の中、急遽近くのホームセンターまで雨具を買いに行ってやる気満々。夕方には雨も上がり、風も弱くなっていました。
朝はうっすらと氷が張り、車のフロントガラスもばりばりに。

時系列で詳しく書いてもしょうがないのでかいつまんで書きます。
最初のノロ出し、ものすごく粘性が低く、しかも大量のノロが出ました。
これにはビックリ。というよりも、一番下に開けてあるノロ出し穴を使ったのでいつまでも流れが止まらず、全部流れ出てしまったのではと思ったほどです。これは黒鉄会始まって以来です。最後は炭を無理矢理押し込み、泥でかためて流れを止めました。
その後も上からの炭もいつまでも順調に下がっていき、なにも不安を感じず・・・・・

多数の見学者がいる中、いよいよ炉の解体作業。上部のレンガから始まり下の段に近づくと、レンガを外す度に2度3度、大量のさらさらノロが流れ出すのです。これはいったい何なんだろう。今までとは全然違う。
最後まで解体すると、大きな空洞があり、冷却のためにかけた水が抜けずに沸騰している、完全に壺状態になっている。
そしてとうとう、なにもなかった。わずかに磁石にくっつくものが2キロほどあったが、それは鉱石そのものが固まっただけのものかもしれない。流れズク、という解釈もあったけど、さてどうか。

とにかく、温度は上がるし、さらさらノロが大量に流れるし、ひょっとして温度が上がりすぎたのかな、とも思います。
それから、還元しやすいとは低温で還元できる、つまり、高温では再反応して珪酸鉄になってしまうということだったようです。

とにかく、いままでの砂鉄とは大違いでした。
予兆はありました。培焼した際に、鉱石同士がくっついてしまった部分がありました。これは送風が多すぎました。自然風程度でよかったようです。

しかしこれに懲りず、もう一度、工夫して考えながら同じ材料で挑戦する予定です。

技術も知恵もないのに懲りないところが黒鉄会らしいですね。

反省点、工夫点を話し合い、また、西川さんからも教えを請い、次回も再び磁鉄鉱鉱石に挑戦です。

 


 地元の小学生とその親たちなど、多くの見学者がありました。丁寧に説明。


 最初のノロ出し。ものすごい勢いで止めるのに一苦労。粒鉄もありませんでした。


 炉の解体中もさらさらノロがたびたび。


 解体後半の炉の断面。操業羽口側(左)のレンガが大きく食われている。ノロもまた流れる。
 結果的にほぼ全部の鉄分はノロの成分になってしまったのでした。

 


 

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