藤野22号だたら (2012.06.02)

天候、湿度等が気がかりでこの日に日程変更。その結果、無風ないし微風、快晴ないし薄曇りのさわやかなコンディションのもと、たたら製鉄が始まりました。火入れの直前には琵琶湖の西川さんから激励のお電話もいただきました。 参加者:6名。見学者なし。

7:42火入れ、いつもより慎重にスタートし、最初の鉄鉱石投入は10:24。材料は前回と同様、秩父鉱山産の磁鉄鉱です。途中で砂鉄に切り替えるかどうか事前に話し合っていましたが、最初のノロに粒鉄がどの程度できているかどうかで判断しようと決めていました。

一番気にしていたのは炎の高さ。これをきっちりと1mに保ち、火力が強すぎないように頻繁にブロア開閉を調整しました。前回はとにかく強く吹過ぎだったので、より弱めの送風量です。 しかし、1mは高すぎで60cmが適正であると、後日西川さんから指摘されました。

11:43に操業羽口(下段)に切り替え。最初のノロ出しは12:24。前回に比べかなり粘い。しかし、前回と違い粒鉄はわずかにできている。この段階でほぼ予定通りでしたが、話し合った結果、磁鉄鉱から房総産の砂鉄に切り替えを決定。 さてどういうわけか、砂鉄が炉の周りにたくさん降り注ぎ、そのうち真っ黒になります。いくら湿らせても葉っぱの上にも降り積もり、まるで噴火で継続的に火山灰が降っている、という個人的な体験を持ちました。黒鉄会始まって以来、こういうことは初めてでした。 この段階で、風が吹き抜けていることが明らかでした。

13:27次のノロ出しでは結構さらさらノロが出ました。みんな一安心。13:53操業羽口を上段に切り替え。15:00のノロもとろとろ。黒鉄会としてはまあいいノロです。みんなで慎重に炎を観察し、火力の調整をきちんとしたつもりでした。

最後の砂鉄投入は14:52。総量は磁鉄鉱11キロ、砂鉄19キロ、総量で30キロです。

火伏せが終わり炭が下まで落ちるといよいよ炉の解体。前回はレンガを食うほどの火力でした。今回はノロでくっついていることはありましたが、食われたところはありません。最後の段階では、丸い炉底がそのまま現れて、あれ、火力が弱かったかな、と心配になりました。

さていよいよ直径30cmほどの炉底をドラム缶に投げ込む。ボコボコと大きな音が・・・、
しかし期待は徐々にしぼみかけ・・・・。 最終的に5.3キロの収量でした。しかし、まとまっていません。最大の塊は2.4キロでしたが、ずっしりしたものではなく、部分的にスカスカ気味のあまり質のよいものではありません。やはりノロの流動性が低かったようです。

さて恒例の反省会。夕食時にみんなで話をしているうちに、いろいろ朝から疑問・不安に思っていたことなどがはっきりと浮かび上がってきました。 多少湿らせてあった砂鉄ですが、炉の周りにいつもよりたくさん降り注いでいました。投入した直後だけではなくずっと。
炭は4cm角でチャコさんに注文していたのですが、今回はいつもより大きめとみんなが感じており、いくつか計ると4.5-5cmのものがほとんど。 朝、煙突を乗せると、煙突が共振したかのように大きな音がでて、どうしたんだろうと不思議でした。 前回と炉の設計は同じですが、炎の高さを不適切な1m目安としたにもかかわらず前回よりもブロアをかなり閉め気味でした。 以上から、どうやら炉内の風の通りがよかったことが容易に想像できます。炭がいつもより大きく,炉内は隙間だらけだったらしい。時々どさっと炭が落ちることもあり、棚つりしていないのになぜだろうと不思議に思っていました。炎の高さから火力をミス評価してしまったようです。それにより温度があまり上がらないにもかかわらず見かけ上の炎が高くなっていたのでは、とみんなの意見がそろいました。 前半の鉄鉱石投入の間、予定したよりも温度が上がらず、ノロの流動性が上がらなかったと想像できます。温度の目安として炎の高さ(しかも間違っていましたが)に頼りすぎたようです。

小型炉では炭の大きさがどれほど重要であるか、はっきりと認識しました。注文するごとに切り炭のサイズが微妙に変わるので、今までは3cmと4cm両者を使っていたのですが、今回は4cmだけ注文していたのでした。それで大丈夫だと。今回は大きめにカットされており、考えが甘かったようです。値上げされたためか、炭の質としては問題はなかったと感じています。
あああ、やはり途中で気がついた段階で炭切をすればよかった・・・。

 

 


 新緑に囲まれ、梅雨入り前の穏やかな天気。


 1回目のノロ出し。


 2回目のノロ出し。


 3回目のノロ出し。


 解体後半の炉底。丸い形がそのまま残っている。温度が低かったと思うのだが・・・。


 2.4キロのケラです。。

 


 

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