昨年秋に炉作りをしていましたが、炭を入手できずに冬を越しました。これまでの赤松の炭ではなく、黒松の間伐材を入手し、ずいぶんと久しぶりに自分たちで炭切りをし、ようやく操業にこぎ着けました。炉は一冬超しましたが、大丈夫でした。
前日から中嶋さんと植木さんが泊まり込みで乾燥作業。参加者:中嶋、植木、内藤、鈴木、大嶺、中野、朝吹の7名。
原料は、前半は磁鉄鉱、後半は砂鉄です。結論から言うと、とにかく失敗でした。ケラのまとまりができませんでした。みんなでいろいろ考えたのですが、大きな原因の1つはこれまでと違う黒松の炭だということかもしれません。作業中にとにかくいつものように温度が上がらないことは強く実感していました。当然、ノロは硬くてどうにもならず、ケラはできていないとしか思えませんでした。
炭切をしている最中に、スカスカの炭があること、それに間伐材なので細い木が主体でした。かりにケラができても、これでは「若木で鉄湧かず」で品質は悪くなるだろうと想像をしていました。
炉を解体したら炉の下の部分の土が溶けていなくて、温度が低かったことがわかりました。小ゲラは合計3kgほどできましたが、これを卸し鉄にしたら何分の一になるかという代物でした。
いちばんまとまった小ケラ
西川さんからは、以下の指摘を受けました。
炉の内壁のある部分は溶けていると仮定し、ノロと金属鉄に分離はしているとした場合、製鉄範囲の温度は充分出ているのですから、それが1つに固まらないというのは風が強すぎて火球範囲が散ってしまっているのではないかと。そして底の土は溶けていない場合、底に風が回っていないと考えられます。炉の設定と炭の大きさなどを再確認する必要があります。火力だけで製鉄するものではない、スカスカの炭は使わないなどの御注意を受けました。
炉は今までと同じ設計でした。今回の炭は、黒松が主体だったこと、また、切り炭サイズも当然ながらチャコさんから購入していたものに比べばらつきができてしまいました(見本を見ながら炭切りをしましたが、個人差も含めて前回までのようにはそろっていません)。送風量は前回までの資料を参考に、また炎を確認しながらの作業なので、それほど違っていたとは思えず、炭に原因があった可能性が高いのでは?とのいちおうの結論です(自分たちの腕前はさておき)。