藤野3号だたら (1999.4.4)

やっとできた!ケラケラケラ!

 藤野の畑の土手には桜が咲き、4/4はあたたかな春の1日でした。しかしである、黒鉄会の第3回たたら製鉄の日なのであった!

 1回目はまあまあで、ズクができ、調子に乗った2回目は敗退、そして迎えた3回目。失敗してはなるものか!と、力んだことと、皆さんはお思いでしょう? ところが、どういうわけかフラフラしている黒鉄会のメンバーたち。これが黒鉄会のいつもの調子なのであります。まあ、失敗すればこの次またやりぁ、いいさ、なんて、相変わらず「くろうがねえ、くろがねかい」です。
 まして、桜の花がひらひらと風に舞うのどかに日に、何をあせっても仕方ないと、まあ、こんな調子で黒鉄会のたたら製鉄は始まりました。
このところ、お天気は雨続き。これでは炉の乾燥がうまくいっていないことは予想していたので、なるべく素早く火を入れなくてはと思いきや、電気のコードリールが見つからなくてブロアーが使えない。ムムム、あわてて、寝坊をしていたMさんに電話をしてすぐ、持って来てくれと叩き起こす。そこに花見をして遅れてやってきたN、Uコンビ。心配性のNさんはちゃんと延長コードを買ってあったので、とにかく電源は何とか解決。
 これでやっと操業開始したものの、なかなか炉底温度が上がらない。今回は焦らず、ゆっくりとやろうということで全員納得していたので、ここはじっくり粘る。しかし、10時に火を入れたのに、12時になってもまだ炉底温度は低い。ここは、昼飯でも食べてから砂鉄投入にしようと、のんびり構える。お昼ご飯はカレーうどんに、Rさんが信州から摘んで来てくれたナズナのおひたし。
 昼御飯が終わり、いよいよ砂鉄の投入開始。1時間後にノロができていることを確認したが、どうも粘っこい。おまけに砂鉄と一緒に入れた石英の粒が溶けていない。これでは炉底温度がまだまだ低いと判断したが、さあ、困った。今日は「尾上電話相談室」にお世話にならずにたたらをやろうと話し合っていたのだが、ここで開き直って携帯電話の番号を押す。「すみませ〜ん。3時間ブロアー2台で乾燥させてもノロが粘っこいんですが、どうしたらいいでしょうか?」「フウ〜ン、それじゃあ、シリカを1キロずつ、2回に分けて入れてみて、30分後にノロの状態を見てみて」
 念のため、45分経ってからノロの状態を見たら、先ほどよりはましになっていた。再び尾上さんに電話をして相談。どうも、炉底温度が安定していないから、このまま1本は始業羽口から送風を続け、もう1本を操業羽口に切り替えて、砂鉄を1キロ投入に変えることにした。すでに3時を過ぎていた。しかし、操業羽口に切り替えようと思ったら、どちらの羽口もなかなか壁から抜けないほど固まっていた。思いっきり引っ張れば炉が壊れてしまうので、慎重に鉄の棒で突いた。やっとのことで抜いてみるとノロがべったりくっついている。金槌でたたきノロをはがした。それなのに、炎は透明なままで、ケラが成長している気配がどこにも感じられない。この段階で、今回も失敗かな?と、みんな思わざるを得なくなっていた。まあ、いいや、またやれば。でも、焼いた炭も底をついたし、今度は炭焼きから始めなきゃ、そうだ、砂鉄も採りに行かなくちゃ。たたら小屋の増設もしなくてはならないし・・・。
 なんて、話し合いをしていたら、炎が少し赤紫に濁ってきた。ここにきて、かすかな期待が生まれてきた。もしかすると・・・。
 いよいよ、炉の解体。今回はノロ出しをして炉底温度を下げるのを極力防いだので、炉を崩すと全体が四角の固まりになっていたが、下の部分から、ゆるいノロがタラーッと流れ出した。熱さでNさんは目を火傷しそうになっているのに、熱中しすぎて作業を止めない。大きな槌でがんがんと叩くとやっと土と煉瓦がはずれる。このあたりで、内心、こりゃあできていないな・・・。
 水をビシャビシャかけてもこりぁだめだ・・・。ところが、ところが、割っていくとできているではないか、ずしりと重たい何物かが、これはまちがいなくケラだ!! 固まりは2つあった。さらに小さなかけらを集めるとだんだん収量が上がっていき、4.8キロになった。

 尾上さんには報告の電話を入れました。ケラが2つに分かれたのは2本羽口にしたときによく起きることもわかりました。とにかく炉の乾燥にもう少し時間をかけなければならないことが課題です。今回は4.8キロでみんな満足でした。


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