鳥海火山の噴火記録


植木(1981)による.気象庁(1996)で補足した
信ぴょう性の高い記録は青塗り
植木貞人(1981)鳥海山の活動史.自然災害特別研究班成果,no.A-56-1,p.33-37.

期 間

活 動

原 史 料

日本活火山総覧(第2版)
気象庁(1996)
573年3月か?
(敏達天皇二年一月)
鳴動・地震・噴火・新火口丘生成 象潟誌  
577年冬〜578年夏
(同六年冬〜七年夏)
鳴動・噴火・溶岩流出・新火口丘生成 鳥海山噴火及地震記録・鳥海山噴火地震・小滝旧記 鳴動? 噴火?:新火口丘生成
593年〜628年の間
(推古天皇の代)
噴火 直根旧記  
708年〜715年の間
(和銅年中)
噴煙,噴火・新火口丘生成か? 鳥海山噴火及地震記録・小滝旧記,直根旧記? 噴火?
717年7月
(養老元年六月)
噴火 矢島の古伝  
804年〜806年
(延暦二十三年より3年)
  日本記 噴火?
806年
(大同元年)
地震・鳴動 鳥海山噴火及地震記録・小滝旧記  
810年〜823年の間
(弘仁年中)
噴火 三代実録 噴火?
824年〜833年の間
(天長年間)
爆発的噴火・泥流発生 鳥海山噴火及地震記録・小滝旧記・象潟誌 噴火?
850年8月
(嘉祥三年六月)
鳴動か? 文徳実録  
856年
(斉衝三年)
噴火 歳代記  
857年5月
(天安元年五月)
地震・噴火 竜山寺書上写  
861年5月
(貞観三年四月)
噴火,新火口丘生成か? 鳥海火山地質調査報文(中島,1906)・鳥海山噴火及地震記録  
862年
(貞観四年)
    異常?
864年
(貞観六年)
    異常?
871年5月5日
(貞観十三年四月)
噴火,泥流発生か? 三代実録 噴火:泥流が流下,川の水が青黒く変色して氾濫,堤防が崩壊,魚類多数死ぬ.
876年〜886年
(貞観十八年〜仁和二年)
    ときどき異常?
915年8月
(延嘉十五年七月)
降灰,噴火か? 扶桑略記・鳥海山噴火及地震記録  
939年5月?
(天慶二年五月?)
噴火 本朝世紀 噴火
948年〜949年
(天暦二年〜三年)
噴火 鳥海山噴火及地震記録  
999年
(長保元年)
噴火 直根の古伝  
1477年
(文明九年)
降灰か? 矢島八幡寺記録  
1560年
(永禄三年)
噴煙活動 直根旧記  
1659年4月〜1663年?
(万治二年二月〜四,五年)
噴火 仁賀保旧記・歳代記・歳代記録 噴火:4年〜5年続く.稲作に被害
1735年
(享保二十年)
新火口丘生成 鳥海山噴火及地震記録  
1738,1739年(元文三,四年) 噴火 庄内旧聞記  
1740年6月〜1741年10月?
(元文五年〜一両年)
噴火 出羽風土略記・乍恐口上書を以申上候・口上之覚・「元文五年五月上旬」・矢島旧記 噴火:荒神ヶ岳の南東側山腹火口から噴煙多量.硫黄化合物が北側の川に流入し,水田・川魚に被害.噴火数年続く.
1764年
(明和元年) 
噴火・新火口丘生成 蕨岡記事  
1792年6月
(寛政四年四月)
鳴動か? 矢島旧記  
1800年12月〜1804年?
(寛政十二年霜月〜文化元年)
噴火・新山形成・泥流発生,死者8名 公義被仰出書・享和元年辛酉鳥海山硫黄焼之次第・乍恐書付申上候・乍恐書付を以申上候・「去年中願申上候」・文化大地震附鳥海山噴火由来・鳥海山煙気之控・滝沢八良兵衛日記・御献札之御儀・弥光山浄専寺日鑑・鳥海山炎灯・矢島旧記・田中又右衛門聞書 噴火:新火口丘生成(1801年).活動は前年冬から始まり,1801年の3月頃から噴煙絶えず,8月下旬に噴火は最も激しくなり荒神岳付近で爆発,噴石,灰を噴出し新山(享和岳)を形成.登山者8名噴石で死亡.
1804年七月十日
(文化元年)
    象潟地震:由利・飽海・田川郡で死者333名,倒壊家屋5,500余棟,土地隆起,津波.
1821年5月
(文政四年四月)
噴火 滝沢八良兵衛日記・鳥海山硫黄焼図巻・鳥海山煙気之控・小滝旧記・鳥海山噴火及地震記録 噴火:新山・七高山付近.
1834年7月
(天保五年六月)
噴火 天保四年大饑饉実録 噴火?:川魚等死ぬ.
1974年2月?〜5月
(昭和四十九年)
噴火・小規模泥流 鳥海山1974年の火山活動(宇井・柴橋,1975),その他 噴火:新山の東側火口で噴火し噴煙,降灰(水蒸気爆発).6日に泥流.4月8日から新山西側及び荒神ヶ岳の割れ目から噴煙.4月24日に黒煙と泥流.4月28日に北方26kmまで降灰.5月8日の灰色噴煙を最後に以後は弱い噴気となる.噴出物総量約10万立方m.