御 嶽 山  −不遇の山−

2001年4月公開、2009年10月修正

 御嶽山については 、私は一部地域(東側)の調査しか行っておりません。
 文献に基づく火山の形成史、風景写真などをお届けします。

 岐阜・長野県境にそびえる御嶽,御岳,あるいは木曽御嶽.この山は乗鞍火山列南端の活火山です.最高峰の剣ヶ峰は3,067mに達しており,日本の火山としては富士山に次ぐ標高を誇ります.ところが,国立公園にも国定公園にも指定されていません.御嶽は,我が国唯一の,国立公園に含まれない3,000m峰なのです.ちなみに,日本には国立公園が28ヶ所ありますが,その3分の2は火山地域が指定されています.日本には,標高2000m以上の火山は30あまりありますが,そのうち国立公園でも国定公園でもないものは,この御嶽以外では群馬県の上州武尊(2158m)だけです.でも,この山は活火山ではなく,100万年以上前の古い火山ですので,ならび比べるものではないでしょう.
 御嶽の東側,木曽川と天竜川に挟まれている,標高2900mを越える中央アルプス(木曽山脈),火山ではありませんが,やはり御嶽と同じ扱いです.標高という視点からだけみれば,こんな扱いの山はもちろんほかにはありません.山,高きが故に尊からず,でしょうか.これだけの高山でありながらどちらも県立公園に甘んじているのには,何か事情があるのでしょうか.
 少なくとも,このことはリゾート開発には都合がよいのかもしれません.御嶽山の長野県側は3つの村(王滝,三岳,開田)にまたがっています.王滝村には古く(?)からスキー場がありました.やがて三岳村にも通年営業のロープウェイを持つスキー場ができました.そしてとうとう,最後の開田村にもできてしまいました.開田村では「おらがムラにも・・」といっていたという話も聞きました.岐阜県側には濁河スキー場という小さいスキー場がありました.そして,1998年末,御嶽火山の北麓,高根村に8人乗りゴンドラを備えた新たなスキー場(チャオ御岳スキーリゾート)がオープンしました.そういうわけで,御嶽山はいたるところ傷だらけになっています.まあ,山が高くて大きい分,福島県の磐梯山・猫魔岳などに比べたら目立ちはしないのですが・・・.
 御嶽山は古くからの信仰の山,夏になると今も多くの御嶽教信者が「六根清浄」ととなえて山に登ります.そして冬場はスキー客で賑わいます.


長野県側には3つのスキー場があります.山肌に刻まれた傷跡がわかりますか.


この先,御嶽火山の成長史・地質を文献に基づき詳しく紹介します.ご覧になる方はNEXTをクリックしてください.
成長史や地質を省略し,風景写真や1984年の御嶽くずれの模様などをご覧になるにはここをクリックしてください.

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