西之島  (2009年10月、2020年4月追記)


2013年11月、西之島は約40年ぶりに噴火しました。約2年間継続した噴火は2015年11月にいったん終息し、2016年10月に噴火後初の調査が行われました。

   → 2014年 6月 3日西之島上空観察報告 (リンク)

   → 噴火が終わった西之島に初上陸調査 (リンク)

しかしその後、2017年4月〜8月、2018年7月、そして2019年12月から連続して噴火が起こっており(2020年4月時点で継続中)、活動の本格的終息はいつなのかわかりません。

 

 西之島は760 m×600 m,最高海抜25 mの平坦な島で,海面下に直径約1.3 kmの火口が存在し,その火口縁に当たる古い火山体と,1973-74年噴火によって形成された新しい火山体(中央火口丘)からなり,両者の間はその後の砂礫の堆積により1974年に陸繋した.浸食・堆積による地形変化が著しく,北側に形成されていた湾は1981年頃に閉塞し,その一部は島の中央部に湖として取り残されている.

 西之島は比高3,000 m,底面が20 - 30 km程度の巨大な海底火山の頂部に相当し,西之島火山噴出物及び海浜堆積物から構成される(海野・中野,2007).1973-74年にマグマ水蒸気噴火・マグマ噴火がおこり新島が形成されたが,現在,それ以前から存在した西側(旧島)との間を未固結の海浜(礫浜)堆積物が連結している.旧島は海底火山頂部の火口縁上に位置し,新島はその火口内に形成された火口丘の一部である.

 西之島火山噴出物はいずれも陸上噴出の西之島溶岩及び1973-74年噴出物に区分されている.西之島溶岩は後期更新世あるいは完新世に噴出した安山岩溶岩及び少量の火砕岩(アグルチネート及び火砕サージ堆積物)で,北側に分布する岩礁群とともに直径約1 kmの火口縁の一部である.1973-74年噴出物は1973年から翌74年にかけて噴出した火砕丘及び溶岩流であるが,噴火開始以降の波浪浸食でその大部分が消失しており,固結した溶岩部分を主体に残存している.これらの岩石はいずれも斜方輝石単斜輝石安山岩である.

 1973-74年の噴火(小坂,1991)は海底噴火から始まり,噴火中心を移動しながら火砕丘の形成・消滅,溶岩流出を繰り返し,1年以上続いた.噴火継続中及びその後の波浪浸食,砂礫の堆積により旧島部と新島が連結,拡大したが,1990年頃以降は波食により面積を減じつつある.

 1973-74年噴火以前には西之島旧島を火口縁の一部とする直径約1 km,中心部が水深107 mの火口地形が存在していたが,1992年の測量では火口地形の最深部は水深49 mとなっており,噴火前に存在した火口地形のかなりの部分が1973-74年噴出物及びその二次移動した堆積物によって埋積されている.

 


 

北東海上より見た西之島全景。左側が新島、右側が旧島。

 

父島から小型船で6時間ほどで沖合に。その後、船外機付ゴムボートで島に近づく。
この辺りから海に飛び込み、 泳ぐ(というより、ロープで引っ張ってもらう)。

 

上陸地点(南岸)は礫浜。旧島・新島間の連結した部分。

 

平坦な旧島北部。じつは火口縁。カツオドリの営巣地。

 

旧島から新島を見る。その間に形成された砂礫地も営巣地。

 

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