番号: 301 採取日:2024-11-06 産地:岐阜県 各務原市 鵜沼
(北緯:35.400639、東経:136.960750)産総研の斎藤眞さんに「犬山のチャート」はどこで見られるかと聞いたら、犬山ではなく木曽川を挟んだ対岸の鵜沼だと。ここは犬山城よりも2.5kmほど上流の木曽川右岸である。ここでは赤を主体とした層状チャートが見事に河床に広がっている。ここのチャートは三畳紀からジュラ紀にかけて放散虫の遺骸が深海底に堆積してできた岩石で、美濃帯という地質体、付加体の一部である。ここには川砂も堆積していた。この砂は美濃帯を構成する岩石だけでなく、上流域の花崗岩や約5万年前に御嶽山が崩れて濃尾平野まで土砂が流れ下った“木曽川泥流”などに由来するのだろうか。前夜は岐阜市内に宿泊したが、朝になってホテルの窓から見えた金華山山頂の岐阜城にびっくり。地形図で見たらなんと麓から天守閣まで標高差で300mもある。地質図で見るとチャートの山だ。すぐにネットで調べたら城主らの館は麓にあったと書かれているが、城主や家臣は果たして毎日“通勤”したのだろうか。同じく美濃帯のチャートの山に築かれた犬山城の山はたかだか比高50m。ただ、城内にチャートの露頭は見つからなかった。もちろん石垣には層状チャートは使われていたが。
(撮影:中野 俊)