悪石島


 悪石島は後期更新世の複合火山である。下位よりノンゼ岬火山、ビロウ山火山、中岳火山のいずれも輝石安山岩の成層火山が重なり、その上位に溶岩ドーム状の御岳火山がある。これらは南東から北西に噴出中心が移動しており、ビロウ山火山と中岳火山にはそれぞれ西に開いた崩壊地形が存在する。ビロウ山火山からは約10万年前のK-Ar年代が報告されている。御岳溶岩ドームには山頂直下の直径約300×150 mの火口(オッポンタオ)がある。

 島の南東部の比較的平坦な地形面には、層厚5 m以上で、角閃石を含む軽石質の降下テフラ・火砕流堆積物が分布するが、給源は不明である。島の北部で、東へ緩傾斜する平坦面は、角閃石デイサイトの大峰溶岩で構成されている。この溶岩の上位には粗粒なテフラは存在せず、悪石島では最新の噴出物であるが、2.9万年前のAT火山灰には覆われている。

 御岳南麓の海岸付近の地熱地帯には湯泊温泉などがある。最も高い泉温は78℃を、また、硫気ガスの温度は120℃を示した記録がある。

 

引用文献

大四・松本(1979)、大四・松本(1992)、Furuyama et al.(2002)、小林・棚瀬(2008)

 

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