中之島


 中之島は新期の御岳火山と旧期の椎崎火山・先割岳火山・ネガミ岳火山・セリ崎火山などから構成される。旧期の火山体からは約50万年前のK-Ar年代が報告されており、中期更新世の輝石安山岩の成層火山である。東海岸付近には強変質部が露出する。新期活動の御岳火山は輝石安山岩の成層火山である。活動年代を示す資料はほとんど得られていないが、山体の開析が進まず、溶岩流地形が新鮮であり、一部の溶岩流は7,300年前のK-Ahの上位である。有史時代の活動記録としては、1914年に小規模な水蒸気噴火が発生している程度であるが、山頂火口及び東山麓の噴気孔では噴気活動が活発であり、しばしば噴気量の増大が観察されている。

 西海岸では、局所的に隆起サンゴ礁堆積物が分布する。その分布域の長さは170 mであり、5,300-3,400年前の放射性炭素年代(未較正)が報告されている。
 
 中之島では、かつて硫黄の採掘が行われていた。御岳山頂火口内にて1940-1945年に大規模に採掘が行われ、東海岸(大木)で精錬し、積み出されていた。噴気孔ガスから硫黄を昇華させる昇華鉱床であった。そのほか、御岳南麓の海岸付近で東区温泉、西区温泉、天泊温泉などの数ヶ所の温泉があり、古くから利用されている。泉温は多くが50~67℃である。


引用文献

赤塚ほか(1953)、中田ほか(1978)、木庭ほか(1979)、Daishi(1989)、平林ほか(2000)、小林・棚瀬(2008)

 

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