3.1 鳥海火山の誕生

 鳥海山の位置する場所は,いわゆるグリーンタフ火山活動が起こっていた地域である.また,さらにそれ以降に形成された油田堆積盆の中にある.鳥海山の周囲には油田が多く,今でも鳥海山の北,由利原高原では石油資源開発(株)により油ガス田開発が行われている.鳥海火山が活動を始める以前にも,グリーンタフ活動以降も延々と火山活動が続いていたらしい.これらの火山岩や堆積岩を基盤として,鳥海火山が生まれた.


 鳥海火山の下には,礫や砂を主体とした堆積物が基盤を覆ってわずかに露出していることがあり,その中には火砕岩や溶岩が挟在している.そのうちの1つからは約55万年前という放射年代が得られている.どこからが鳥海火山かと決めるのは難しく,それらを先行する火山活動として位置づけてもよい.もしくは,それらを鳥海火山の活動の最初期と見なしてもよい.なお,海岸線まで火山体であると先に述べたが,火山の中心近くでは沢沿いに露出する基盤岩の高度は1000mを超えており(東側の出羽丘陵の高度とほぼ同じ),火山の中心部の火山噴出物の厚さは1000m程度と推定される.鳥海火山はやや上げ底型をしているといってもよいだろう.

はじめはこんな山だったか?

 

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