3.2 最初にできた大きな火山

古期成層火山の形成・崩壊(ステージI): 古期成層火山の活動開始は少なくとも50万年前までさかのぼることができる.ほぼ円錐形をした火山体が形成されたらしい.山体の高度は2000m程度と推定され,約40万年前にはほぼこの大きさに達していたらしい.現在の西鳥海馬蹄形カルデラの北部(鳥海湖の南東斜面)から東鳥海馬蹄形カルデラの南部(千蛇谷上部)にかけて,熱水変質帯が見られるが,このあたりに噴出中心の1つがあったのかもしれない.また,古期成層火山の噴出物が厚く露出する奈曽渓谷では,ほぼ南東-北西方向に貫入した岩脈がみられることから(写真1),側噴火が起こっていた可能性もある.古期成層火山の総体積は47立方kmに達し,鳥海火山全体のほぼ3分の2を占めているが,大部分はそれ以降の新しい噴出物に覆われてしまっている.また,大規模な山体崩壊(岩屑なだれ)がおそらく数回にわたって発生したらしく,山体の北麓(由利原高原)や南麓に大量の岩屑堆積物をもたらしている.

写真1:古期成層火山を構成する火砕岩を貫く岩脈(奈曽渓谷).貫入面に垂直な柱状節理が見える

 

大規模な山体崩壊が繰り返したらしい

 

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