3.3 2番目にできた火山西鳥海の活動(ステージIIa,IIb): 西鳥海の活動の始まりは約15万年前にさかのぼる.古期成層火山の活動との間には,大きな休止期はなかったらしい.活動の中心は古期成層火山の中心より西側の,現在の西鳥海馬蹄形カルデラあたりにあり,溶岩を噴出しては山体を西へ西へと拡大して,裾野は日本海まで達した.この火山は標高2200-2300m程度に達していたと推定される.
北西側からの想像図 (図によって方向が変わるので注意)
側火口群の活動(ステージIIb): ほとんど完成された西鳥海の斜面上に,ほぼ西北西-東南東方向に1列に並んだ観音森,大平,大平北,清水の少なくとも4つの側火口が活動し,溶岩を流出した.このうち,観音森は溶岩ドームを形成している.この頃,西鳥海の山体上部には正断層群が形成されつつあった.
火山体斜面には断層や側火口ができている カルデラの形成(ステージIIb/IIc):西鳥海の山頂部が南西に向けて崩壊し,直径約2kmの馬蹄形カルデラが形成された.これを西鳥海馬蹄形カルデラといい,笙ガ岳-扇子森-月山森が取り囲む凹地形である.この時の崩壊堆積物は,後カルデラ火山活動などによる新しい溶岩流や扇状地堆積物に埋積されており,ほとんどみることはできない.
山がくずれ,馬蹄形のカルデラや崩壊地形ができる 東鳥海(ステージIIc): 一時的に“東鳥海”が活動を始めたらしい.火山体の東麓や,西鳥海馬蹄形カルデラ内に溶岩が流出した時期である.噴出中心ははっきりしないが,西鳥海のカルデラより東側に推定されるので,これを東鳥海の活動とする.
後カルデラ活動(ステージIId): 西鳥海のカルデラ内に形成された中央火口丘(鍋森溶岩ドーム,鳥_ナ海火口,扇子森溶岩ドーム)の活動期である.鳥ノ海火口は鳥海火山としては珍しく,やや大量のスコリアを放出している火砕丘であり,現在では鳥海火山で唯一の火口湖を持つ.鍋森付近からは麓まで達する溶岩が流出し,最後に溶岩ドームが形成されている.
カルデラの中には中央火口丘ができた
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