マグマの結晶分化作用

- 火成岩はどのようにできるか? その基本 -

現在の地球=マントル地殻



 マグマは,上部マントルまたは下部地殻が部分的に溶融して形成され(これを初生マグマという),浮力で上昇してくる.マグマの大部分は,多くの化合物(酸化物:SiO2, FeO, Al2O3, CaO, Na2Oなど)からなる複雑な液体.マグマが冷却すると,ある温度範囲にわたって結晶化がおこる(たとえば,1200℃で結晶が出始め,全部が結晶になるのが900℃).最初にある種類の鉱物が形成され,次いでほかの鉱物が,というように,マグマは全体が固結するまでに数種類の異なった鉱物を晶出していく.どのような鉱物が結晶になる(晶出する)かは,マグマの化学組成,温度,圧力などに依存しており,複雑である.先に結晶となった鉱物が,マグマと反応して別の鉱物に変わることもある.また,同じ鉱物種でも,その化学組成は一定ではなく変化する.それを固溶体という.たとえば,かんらん石にもFeに富むものからMgに富むものまである.マグマ中のMg,Feの量比に応じて結晶中のMg,Feの比が変わっていく.

マグマ,そしてそれが冷却して固結した岩石はなぜさまざまな種類になるのか:溶けるマントルは地球全体で均質ではない.部分溶融の程度もいろいろ(マントル物質が何%溶けるか:融点が低い鉱物から先に溶ける).そして,晶出した鉱物が沈んで取り除かれたり,周囲の岩石が溶けこんだりして,マグマそのものの化学組成が変わっていく.深いところでゆっくり冷えて固まると深成岩(はんれい岩→閃緑岩→花崗閃緑岩→花崗岩),地表に出て急冷されて固結すると火山岩(玄武岩→安山岩→デイサイト→流紋岩).中間的な半深成岩というのもある.これらをあわせて火成岩という.なお,マントルを作る岩石はかんらん岩という名前の深成岩である.

マグマ中のいろいろな元素は,晶出する鉱物の種類,温度,圧力,マグマ中に溶存しているH2OやCO2などの揮発性成分の分圧に応じて,晶出した鉱物とメルト(液体マグマ)の間で分配される.

マグマの結晶分化の初期には,Mgに富む珪酸塩鉱物(かんらん石)や酸化物(スピネル)が晶出し,これらの鉱物は重いためにマグマから取り除かれる.Mgと挙動が似たCrやNiは,これらの鉱物に選択的に取り込まれ,マグマ溜りの基底部に集積する.この初期の段階では,マグマ中のFeは増加する.

マグマ中のFeは,MgとFeの固溶体である珪酸塩鉱物(かんらん石・輝石など)や酸化物(磁鉄鉱・チタン鉄鉱)に入り込む.これらのかんらん石や輝石は,分化の初期ではMgに富み,徐々にFeに富むようになる(固溶体).磁鉄鉱ができるかどうかは,主にマグマ中の酸素分圧に支配されている.磁鉄鉱も固溶体である.

マグマ中のS(硫黄)は,温度の低下や酸素分圧の上昇,マグマ中のFe含有量の低下などが要因となって硫化物メルト(溶融体)となって珪酸塩メルトから分離する.Ni,Cu,Coなどは硫化物メルトに濃集し,硫化物として晶出する.

結晶分化作用が進行すると,鉱物相に入りにくい元素は徐々にメルト中に濃集していく.アルカリ金属(Na,Kなど)やCu,Ag,Pbなど.H2Oも鉱物相に入りにくいために濃集していき,溶解度を越えると,流体相が形成される.金属元素はこれに溶けこみ濃集し,最終的には硫化物として沈殿する.

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